作文

小学校の頃から作文の時間が大好きでした。

小学生の頃、毎日作文の授業があれば良いのに、と思っていたことを夫に話すと『ありえへん。』と呆れ顔で言い、閉口してしまいました。

いつも想像の世界にいってしまう私を温かく見守ってくれる夫と、一緒に物語を書いてくれる2人の子供たちに感謝します。

 

作文

 

けたたましいセミの鳴き声が耳に痛く、どうしてこの部屋はこんなに空気が重たいのだろうと私は眉をひそめた。ワックス の匂いがほんのり鼻をつき、そういえば先週ワックス をかけたばかりだった、と思い出し鉛筆を握る手をとめた。

隣の席の上田君は、次の原稿用紙を取りに行くため、勢いよく席を立ったため、床に椅子の足が引っ掛かり、古い木の床と椅子の脚先が擦り合わさりギーと不快な音をたてた。教室に残っているのは私と上田君だけだ。他の生徒は400字詰めの原稿用紙を1〜2枚さっさと埋めて帰ってしまった。

 

5年生の遠足でそんなたくさん書くことないやろ、と心の中で毒づきながら、私はもう一度今日の遠足であった出来事を思い出そうとゆっくり目を閉じた。

学校から駅まで歩き、地下鉄に乗り大阪城公園に行ったあと天守閣の見学をした。お弁当を決められたグループで食べ、小一時間の自由時間の後、学校に帰ってきた。それだけのことだった。何も特別なことは無かったといえばなかった。私は目の開けて、目の前の正方形の升目を埋めるためにもう一度鉛筆を握った。

 

上田君とは1年生のときから同じクラスで、靴を隠されたり、容姿をからかわれたりした。私は背が一番小さかったので低学年のときは『ちびちび』とよく上田くんにからかわれていた。一時は学校を休むほどだった。

そんな上田君も今は5年生になり、今はそんな幼稚なことはしなくなったが、以前からかわれていた嫌な思い出が時折思い出され不快な気持ちになった。上田君は作文が得意らしく12枚目の原稿用紙に向い鉛筆を動かしている。

私は作文の授業が嫌いではない。

原稿用紙を目の前にし、与えられた課題について、大抵は読書感想文だったり、遠足の感想文などだったが、気持ちを集中するといろいろな情景が浮かんでくる。意識を集中すればするほど鮮明にその景色が浮かんでくるので楽しかった。今日あった出来事をじっくり思い出して描写したり、本の主人公はどんな気持ちだったのか文字を目で追いながら登場人物と自分の五感を重ねていく。そのとき感じた心の動きを残さずすくいとろうと必死で鉛筆を動かすのが私は好きだった。

上田君には絶対に負けたくないと思い、もう一度鉛筆を強く握りしめる。

西日が教室に差し込み、生ぬるい夏の風がカーテンを揺らし私は原稿用紙を手で抑えた。もう時計は17時を過ぎようとしている。

 

 

『ママ〜どこにおるん?』ふとセミの鳴き声が子ども達の声に変わり私は驚く。

慌てて立ち上がるが、足がしびれてうまく歩けない。

 

 

私は唐突に、今日は3連休の真ん中で、バタ足の練習がしたいという長女のために夫がベランダでビニールプールを出して遊んでくれていたのだ、と思い出す。

 

早く想像の世界から現実にもどらないといけないと思い、

『ごめん!ママここやで〜!今行くわなぁ。』と声を張り上げた。

セミの声はあいかわらず耳元に響いていたが先ほどと違って心地よく耳元に響いた。

 

 

 

 

 

原稿用紙に向かう私を真似て、

負けず嫌いの5歳の長女と自由奔放な3歳の長男が作った作品

 

 

 

夏の空のした、ぶたのおやこがあるいていました。

おしまい。

 

 

長男の豚は台風に巻き込まれたのかな?

 

日々、子ども達の想像力に驚かされます。

次はどんな物語を作ってくれるのか楽しみです。

 

朝が一番元気なセミの声を聞きながら、蒸し暑いリビングにて。

 

みなさまいい1日をお過ごしください。

ではでは。